プロフィール&仕事の依頼 ご案内 掲示板 コラム&落語用語集 後援会 リンク
TOP
コラム
2007年2月
イジメ問題と落語
  『錦の袈裟』という落語がある。町内の若い者が集まって吉原に遊びに行くのだが、何か趣向と相談の末、皆で錦色の褌を締めて、お引けになる前に揃いの褌姿で派手に踊って、花魁衆を驚かそうということになった。
 
 ところが錦の褌は数に限りがあり、与太郎の分がない。今なら「与太郎はいいよ」と置いてきぼりになるだろうが、「奴も仲間だから連れて行こう」と与太郎にわけを話して、自分で褌を算段させる。与太郎は女房の助言で、寺の和尚から錦の袈裟を借りてくる。立派な褌を締めている与太郎は、花魁衆から殿様と思われ一番モテるというおなじみの噺だ。
 
 亭主を女郎買いに送り出す女房もあっぱれだが、与太郎をのけ者にしない仲間たちも見上げたもの。つまり落語の世界にはイジメがない。イジメ撲滅のためにこの噺を小・中学生の教材にとすすめると「女郎買いの噺なんて教育上けしからん」と猛反対されるだろうが、内容を変えれば役に立つのではないだろうか。先生方いかがでしょう?
バックナンバー|04030201