2004年12月 |
師走 |
12月に入ると街にはクリスマス用のイルミネ−ションが目立ちはじめる。子供の頃は胸がワクワクしたものだ。クリスマスプレゼントにお年玉・・・子供にとっては書き入れ時だ。
噺家も前座のうちは師匠、先輩からお年玉をもらえる。真打、二つ目、色物の人たちからいただくと、かなりまとまった金額になる。二つ目昇進の披露目用の紋付の羽織代に貯金する者、若いエネルギ−を発散すべく特殊浴場に行く者と、使い道はさまざまだ。私も二つ目直前の正月のお年玉以外は、エネルギ−を発散した方だ。
ところが、二つ目に昇進すると逆にお年玉を出す立場になる。お歳暮、年賀用の手拭いと合わせ、暮れから正月にかけては何かと物入りだ。昔は真打になってもお年玉をくださるお客さまがいたと聞くが・・・近頃はどうも。
皆様、よい歳をお迎えください。 |
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2004年10月 |
お子様はご贔屓が永い |
日本の球界がすったもんだの間、海のむこうではイチロ−がコツコツと安打を重ね、ついに[大リ−グ史上シ−ズン最多安打]の大記録を達成した。あっぱれである。
今回の騒動で「日本のスポ−ツ界における、ファンサ−ビスの少なさ」を指摘した論客がいたが、私も同感だ。8年前、ロス郊外のアナハイムスタジアムで野球観戦をした(ドジャ−スvsエンジェルス)。野茂がドジャ−スに入団して2年目で、エンジェルスには長谷川もいた。あちらの球場は、内野席にネットがなく、ファ−ルが飛んできたら危ないと思ったが、試合前にその理由が判った。スタンドからファンがグランドの選手にサインを求め、時間の許す限り選手も応じている。日本では見られない光景だ。
小学生の頃、家の知り合いに相撲部屋関係の人がいて、よく蔵前国技館へ大相撲を観に行った。誰かの引退相撲だったと思うが、花相撲ということもあり、花道で出番待ちの力士たちも気軽にサインに応じていた。私の目当ては当時人気の大関貴ノ花(二子山親方)で、サインをせがむと「サインはしない!」とにらまれた。それから、貴ノ花が嫌いになり国技館にも足を運ばなくなった。
寄席には「お子様はご贔屓が永い」という言い伝えがある。子供の客を大事にすれば、やがてその子が世帯を持ち、女房、子供、いずれ孫まで寄席に誘ってくれるという考えだ。紙切りの先代正楽師匠も、客席からの注文は必ず子供を優先した。だいぶ前だが、夏休み中で客席には子供が多かった。正楽師匠が注文をとると、子供が「カブト虫!」。切って渡すと、2人目が「クワガタ!」。ここまでは良かった。それからは、「カナブン!」「ゴキブリ!」「カブト虫のメス」・・・。さすがの正楽師も「虫はもう切りません!」。楽屋は大ウケだった。
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2004年8月 |
果報は寝て待つな |
毎日のように、ジェンキンスさんの訴追問題が取り沙汰されている。私も一日も早く曽我さん一家4人が、日本で安心して暮らせるのを願っている。
報道によると米軍の面子もあり、やっかいな問題であるようだが、
私に云わせれば「あやまっちゃえ」だ。40年前に罪を犯したのは事実だし、ここはひたすら謝ることだ。最新ニュ−スによれば、ジェンキンスさんの体調は思っていたより良好と聞く。回復したらすぐに、虎屋の羊かんでもぶら下げて、小泉首相とともに米国へ出向いて誠心誠意頭を下げれば許してもらえるのではないか。
我々の世界は師匠をしくじり「破門!」と宣告された場合、兄弟子に頼み一諸に師匠宅に詫びに行く。兄弟子やおかみさんの口添えがあり、一度のしくじりならば余程のことがない限り詫びが叶う。私もそれで首がつながった一人だ。日本で朗報を待つよりは、米国まで足を運んで誠意を見せるのが近道ではないだろうか。これはあくまでも私個人の意見だが…。
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2004年6月 |
言い間違い、聞き間違い |
むかし某アナウンサ-が「旧中仙道」を「いちにちじゅうやまみち」と読んだのは有名な話だが、世の中に言い間違い、聞き間違いはいくらもある。先日もある仲間とその話題が出たが、これもある女性アナが薬の飲み方を「この薬はパイタンで服用してください」と説明したそうだ。なんだろうと思ったら「白湯」のことだった。落語にも『目薬』という噺があって、目を患った亭主が目薬を買ってくる。字の読めないこの夫婦はなんと女房の尻に目薬をつけてしまう。
似たような話はいつの時代でもあるものだが、「正念場」を「しょうねんじょう」。「屋形船」を「尾形船」などはよくある間違い。
歌詞の聞き違いも多く、『函館のひと』の「後は追うな」を「後は女」。『太陽がくれた季節』を「太陽が暮れた」と思い、暗い青春を過ごした人。ウルトラマンの主題歌を「進め“因果”の果てまでも」・・・と数えあげたらきりがない。
格言の解釈の勘違いもある。「情けは人のためならず・・・」を「他人に情けをかけると、その人のためにならない」と間違った解釈をしている人が多いと聞く。この格言は先があって「・・・めぐりめぐりて己が身のため」。ここまで聞けば間違いはないだろうが。
実は私も「月極駐車場」を『月極(げっきょく)』という名の駐車場で、全国チェ-ンだと長年思っていたので、偉そうなことは云えない。 |
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2004年3月 |
ホ−ムペ−ジ開設にあたり |
落語家にとって一番有り難いことは、一回でも多くの高座を得ることです。生のお客様の前で落語を演じて、その反応によって新たな課題が生まれます。
平成7年の阪神淡路大震災の三ヵ月後、神戸での落語会に出演しました。「久しぶりに腹の中から笑えて、楽しみました」というお客様の声が、とても励みになったものです。
このホ−ムペ−ジによって、落語を演じる機会が増えれば幸いと思っております。 |
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